昨日の井上尚弥・ドヘニー戦は、ドヘニーが腰痛で試合続行不可能となるという、誰も予想しない結果となった。
私には、ドヘニーの痛みと無念さがわかりすぎるほどわかる。
私も、腰痛に無念の涙を飲んだことがあるのだ。
正直言って恥を晒す気分であり、あまり書きたくはないのだが、「腰」という人体の大きなクリティカルポイントについて考える機会と捉え、恥を忍んで書き記す。
2015年5月3日、住んでいる地域の町会こどもまつりを手伝っていて、長机を持ち上げた時、腰に激痛が走った。
もうまともに動くことができない。
這うようにして病院に行き、治療を受けた。
これが「腰に爆弾を抱えた最初」だ。
年度末・年度始めの非常に忙しい時期が過ぎた頃、毎年5/3にこどもまつりが行われる。
心身ともに疲弊し切っているところに肉体労働を行うので、爆弾が臨界点を突破しやすい。
毎年5/3は、腰に不穏な感覚が漂う…。
そして、2022年。
実は私は、自分の武術稽古の成果を少し試してみようと、DEEPフューチャーキングトーナメントに出場する計画を立て、その1年ほど前から準備していた。
打撃には一定の自信はあれど、組み技には不安があったため、中井祐樹先生のパラエストラ東京に通い、柔術の練習を続けていた。
2022年3月、大会の3日前。
朝起きたら、突然腰に激痛が走った。
原因はまったくわからない。
焦った。
この激痛が3日で治るか…?
あらゆる治療法を試し、痛みを治める努力をした。
試合当日。
なんとか普通に歩けるようにはなったが、腰の違和感は消えない。
ともかく試合会場に向かう。
計量を済ませ、ケージを目の前にするところまで来た。
しかしそこで、セコンドをお願いしていた鍼灸師のIさんに、歩き方で異常を見抜かれた。
「棄権しましょう。10年引きずりますよ」
ぐうの音も出ない。
試合開始直前で、私は無念の棄権申告をした。
中井先生に棄権の報告をしなければならなかった無念さ、情けなさが、おわかりになるだろうか…?
だから私は、ドヘニーの気持ちがわかるのである。
腰痛というのは、原因と結果が必ずしもリンクしない。
そりゃ診断すれば、椎間板が摩耗しているとか、腰にパンチをもらったせいだとか、原因らしきことは言える。
しかし、私の経験上で言えば、単純な単一要因ではないのだ。
「腰」という、上半身と下半身をつなぎ神経の大元が通っているクリティカルポイントにおいて、身体と精神が複雑に影響し、予期せぬ激痛を発生させる。
ドヘニーについて言えば、やはり1日で11キロも体重を戻したのは無茶だと思う。
身体・精神の健全さと「腰」は密接に関係している。
肉体からスッカラカンになるまで水を抜き、その直後に11キロも増えるまで水・食事を摂取するといった「不自然な行為」を行っていたら、腰が機嫌を損ねても仕方がない。
この点については、ぜひボクシング界全体で考えてもらいたいものだと思う。
さて、それでは身体・精神の健全性を保ち、腰をゴキゲンにしておくにはどうすればよいか?
これを語るためには、今度は「甲野善紀先生と私の腰の話」をしなければならない。
(数々のレジェンドに面倒を見てもらってる私の腰は、なんと果報者か😅)
この話は、また次回!