ストレッチなんだが、ストレッチじゃない。言葉で全然違ってくるという話

武研門では、稽古者の必要性に応じ、いわゆるストレッチ的なことをやったりもする。

しかし、「ストレッチ」ではないのだ。

「伸ばす」のが目的ではない。
結果的に腱や筋肉が伸びたりはするが、それを目的とはしていない。

これをいったいなんと表現すれば…

と、しばらく考え続けて、思いついた。

これからは、武研門で行うこうした稽古は「身割り」と呼ぶことにする。

これは「股割り」という言葉を拡張したものだ。

股割りは、言葉通り「股を割っている」わけだ。
股を割るとはどういうことか。
何を目的としているか。

あんパンを両手で持って、ゆっくりと二つに「割る」ことを考えてみてほしい。
どうなるか。

パンの手前側が徐々に引き伸ばされていく。
やがて、パンの手前側にヒビが入り、割れ始める。
やがてパックリと割れて、中のあんこが見える。

股割りも、これと同じことをやっている。

股割りを行うと、癒着していた鼠蹊部が割れていく。
割れていったその中に、何が観えるか。

「恥骨」が観えてくるのである。

つまり、股割りは「恥骨を観に行く」稽古であり、「恥骨が観えるようになることで獲得できる身体観を獲得すること」が目的なのである。

武研門では、こうした稽古を「身割り」と呼ぶことにする。
股に限らず、癒着しやすい部位をゆっくりと割っていって、その奥にあるものを観に行く。
そういう稽古だ。

そう捉えると、「ストレッチ」と呼んでいた時とはまったく違う効果が得られることがわかるだろう。

「言葉」を自分自身の中から立ち上げる

言葉をどう使うか、どう説明するかは非常に重要だ。
先人が使っていた言葉は、先人の経験と時代背景があるからこそ生まれた言葉だ。
先人の言葉をそのまま繰り返していても、先人の言葉の真意を言っている本人がわかっていないということが多々ある。

言葉を自分自身の身体の奥深くで受け止め、新たに立ち上がってくる言葉をもう一度捉えていかなくてはならない。

『孫子』は紀元前5〜4世紀頃の成立だが、現代でよく読まれる『孫子』のテキストは、三国志で有名な曹操が注釈したものである。

曹操が活躍した紀元後2世紀の時代は、既に『孫子』成立から700年ほどが経過をしており、当時の軍人たちが十分に『孫子』を理解するためには、注釈が必要だと曹操は考えたのであろう。

太極拳の根源理論と目されている王宗岳の『太極拳論』は、原文はごく短いものだが、現代人がこれを理解しようとしたら、大量の注釈なしでは困難である。
その中でも白眉は、何度も紹介している、300ページに及ぶ銭育才の『太極拳理論の要諦』である。

【中古】太極拳理論の要諦 王宗岳と武禹襄の理論文章を学ぶ /福昌堂/銭育才(単行本)

価格:3229円
(2024/12/2 17:15時点)
PR

古武術を稽古者に説明するためには、自分自身がそれを深く理解し、その上で、相手に伝わる言葉で説明することが不可欠である。

「自分は身体が固い。これはもう生まれつきのもので変えられない」
「こんなことで悩んでいるなんて、今さら他人に言えない…」

お悩みの方。
武研門の「古武術パーソナルトレーニング」がお力になります。
ぜひ、ご連絡ください!

この記事がお気に召したら、いいねを押してください👍

関連記事

PAGE TOP