さて、腰痛の話の続きです。
「甲野善紀先生と私の腰の話」。
確か、6年くらい前になるだろうか。
甲野先生が定期的に講習を行なっている柊雲会の稽古に参加した際のことである。
「最近腰痛に悩まされているのですが、何かいい方法はないでしょうか?」
経緯はよく覚えてないが、おそらく話の合間か何か。
我ながらえらく図々しい質問をしたものだ^^
しかし、こういう図々しいやつを本気で相手するところが、甲野先生のすごいところである。
「わかった。ちょっとあなた、ここに四つん這いになって」
甲野先生は参加者の中の一人を呼び、四つん這いにさせた。
そして、
「あなたは、この人の上に交差するように四つん這いになって、背中を出して」
と、私に指示された。
言われた通り、四つん這いのクロス状態になって、背中を露出させた。
こんな状態、人生の中で一回しかなったことがない^^
ていうか、私以外にこの状態になったことある人いるのか^^;
さて、そこからは私の視界には見えていない。
なにしろ四つん這いになっていて、下しか見えないのだ。
気配的には。
甲野先生が何やらゴソゴソと用意している。
まわりで見ている参加者からは「ええー…」とドン引きする声が聞こえてくる。
おもむろに、私の腰に何か冷たいものが当てられた。
そこから甲野先生は
「エイ! エイ!」
と何回か鋭く発しながら、その冷たいものを私の腰にビシ!ビシ!と叩きつけた。
私としては、何か細い棒のようなもので軽く叩かれたような感じしかしなかったが…
「はい、終わりました」
そう言われて私は立ち上がったが、結局甲野先生が何をやったのかわからない。
まわりを見ると、見ていた方々は全員「ドン引き」を絵に描いたような顔をしている。
わけがわからず、私は甲野先生に聞いた。
「先生、私の腰にいったい何を叩きつけたんですか…?」
甲野先生の答えは…
「真剣」
とっさに腰に手をやる。
…かすり傷ひとつついていない。
恐るべき技の冴え…!
「どう? 腰、ラクになってない?」
とおっしゃるので改めて腰を意識してみたが、いやそりゃもう腰が痛いどころの騒ぎじゃなくなってるというか、どこかに吹き飛んでしまっている。
甲野善紀先生はいつも講義や著書、メルマガなどでご自身の技を説明されているが、実は甲野先生は、こういう「説明なしの技」がすさまじいのだ。
これ含めて何度かそのような技を目にしたが、まったく理解の範疇外である。
さて、このとき背中を露出していたことで、おそらく甲野先生に私のパンツが少し見えたのだろう。
甲野先生は私に、このようなアドバイスを付け加えた。
「伸縮性のある下着は、やめたほうがいいよ」
この言葉だ。
実はこの言葉が、現在の私のスタイル、「常時和装」の出発点なのである。
なぜ伸縮性があるとだめなのか。
私なりの解釈だが、伸縮性があるものを身につけると「身体がサボる」のだ。
フィットしすぎるので、身体が「ああ、オレ仕事しなくてもいいな」と思ってしまう。
身体にちゃんと仕事をしてもらうためには、身につけるものは伸縮性がないほうがいい。
では「伸縮性のない下着」とは何か。
今どき、あらゆるパンツは伸縮性がある。
伸縮性のない下着とは「褌」以外にない。
それからすぐに、すべてのパンツを褌に置き換えた。
しばらくは試行錯誤で越中褌も試したが、“締まり”に欠けるので、六尺褌に一本化した。
六尺褌の「バシッと引き締まる感じ」は他に類を見ないものだ。
六尺ふんどし 日本製 黒色 20cm幅 綿100% 稲田布帛工業所 製造直売 価格:1254円 |
毎日身につけている「稲田布帛工業所」の六尺褌だ。
アフィリエイトなのはご容赦願いたいが、毎日締めているのは本当だ。
ぜひ試してみていただきたい。
しばらくは下着だけが和装で、他はスーツなどの洋装というスタイルだったが、褌の影響か、だんだん洋装が我慢できなくなってきた。
そこで一念発起し、地元の呉服や光永さんに相談しながら「フル和装」に完全移行したのだ。
フル和装にしたら、身体の慢性的な痛みや不調がいくつも解消した。
腰痛もそのひとつだ。
褌も効果があるが、なんといっても「帯」だ。
帯は腰痛対策として絶大な効果がある。
腰痛ベルトなども普及しているが、こうしたものは「伸縮性がある」。
実は、伸縮性のない帯のほうが腰によいのだ。
オシャレ度では絹の帯がかっこいいが、より腰にいいのは、スタンダードな綿製の献上角帯だ。
価格:1980円 |
ネット通販で安く手に入る。
必ずしもフル和装でなくても、例えば作務衣やワンピースに合わせるなど、着こなし方はいろいろあると思う。
一本試しに買ってみても損はないはずだ。
帯の締め方もいろいろあるが、腰に一番いいのは、結び目が背骨の中心に合う「片ばさみ」だと思う。
結論。
究極の腰痛対策とは「和装」だ。
少なくとも「褌」と「帯」で劇的に変わる。
さらに、腰痛改善を主眼に置いた稽古法も編み出した。
興味を持たれた方は、ぜひ「古武術パーソナルトレーニング」からご連絡いただければと思う。
いろいろご紹介したが、様々な伝統の力を借りることで腰痛は改善できるということだ。
少しでも「試してみよう!」というお気持ちになっていただければ幸いである。